1−1.CADについて |
今日一般的にCADと云うと2次元の作図プログラムを示す事が多いと思われる。しかし、本来はCAD(Computer Aided Design: コンピュータ支援による設計)と云うくらいだから手描きの代用ではなく建築の全行程の作業を支援する様なコンピュータシステムを示している。たとえば、企画段階でのディザイン,日影計算,事業収支などのシュミュレーション、設計段階での図面作成,法令チェック,積算見積り,構造計算など、施工段階での施工図面の作成,行程管理など、殆どの行程でのコンピュータの使用を云う。 |
1−2.CADの今後 |
製図支援のCADについて云えば、以前は2次元の図形の入力,表示が精一杯であったが、コンピュータの性能が良くなったため入力,表示(製図用具の代用)以外の事も出来るように成りつつある。例えば、法令チェックを行う設計入力システム、レンダリング機能付きの3次元表示、など設計者に対してインテリジェンスな支援を行うCADである。 |
1−3.CAD利用の利点,欠点 |
○利 点 |
・ | 品質が一定である | |
これは機械が書くのだから初めての人でも10年のベテランでも同じ物が表示出来る。(但し、内容の質が同じとは云えない) |
・ | 劣化が無い | |
デジタルデータで紙の図面以外に保存出来るため青焼き図面が白くなったり原図が乾燥してバリバリに成っても再出力出来る。 |
・ | 再利用が可能 | |
これがCADのもっとも得意とするところで、一度入力してしまえば自分のデータでも他人のデータでも利用できる。データの蓄積が多いほど利用効率が上がる。またインターネットの普及で離れた場所でのデータ共有が可能になった。 |
・ | スケールの変更が容易 | |
図面密度は変わってしまうが、入力済みのデータはワンタッチでスケールの変更が出来る。 |
○欠 点 |
・ | 手描きに比べて入力が面倒 | |
解像度の低いディスプレイにポインティングディバイス(マウスなど)での入力は画面の解像度解像度を頻繁に変える必要があり面倒である。 |
・ | CADソフト間の操作が統一されてない | |
たとえば車の運転なら基本操作はどれも同じであるが、CADの場合、各ソフト間のインターフェイスが統一されてなくソフトを変更するたびに操作を覚えなくてはならない。ただ、CADソフトの歴史は浅いためこの先どの様になるかは分からない。 |
結局CADは道具であるから、どの様に利用するか(効率良く利用出来るか/出来ないか)は使う側の設計者しだいである。 |
1−4.AutoCAD LTについて |
AutoCAD LTは、Autodesk社の販売するCADソフトでAutoCADの簡易型CADである。これらは世界中で一番使われている。データはDXF,DWGファイルで保存され、DXFファイルは業界標準となり他のCADソフトにも採用されデータ交換に利用されている。但し、このソフトは汎用CADで、建築で使用する場合は建築用の付加ソフトなどをつけて使う場合が多い。その為、AutoCAD LTはデフォルト状態では使いづらい、今回は初期設定をしてあるファイルの使用を予定している。 また、AutoCAD LTでの寸法単位は任意であるが、通常ミリメートル(mm)を用いる。さらに、印刷時の縮尺は自由に設定出来るが、自分が印刷する縮尺を考えて文字の大きさなどの描き込み密度を決めなければならない。 |